日 本 学 生 野 球 憲 章 |
私たちの宝典 |
われらの野球は日本の学生野球として学生たることの自覚を基礎とし、学生たることを忘れてはわれらの野球は成り立ち得ない。勤勉と規律とはつねにわれらと共にあり、怠惰と放縦とに対しては不断に警戒されなければならない。元来、野球はスポーツとしてそれ自身意味と価値とを持つであろう。しかし、学生野球としてはそれに止まらず試合を通じてフェアの精神を体得する事、幸運にも驕らず悲運にも屈せぬ明朗な強靭な情意を涵養すること、いかなる艱難をも凌ぎうる強健な身体を鍛錬する事、これこそ実にわれらの野球を導く理念でならなければならない。この理念を想望してわれらここに憲章を定める。 |
第1章 総 則 |
第1条
この憲章は、学生野球の健全な発達を図ることを目的とする。 |
第2条
この憲章を誠>実に執行するために、日本学生野球協会を設ける。日本学生野球協会の組織及び権限は別に規約でこれを定める。 |
第2章 大 学 野 球 |
第3条
試合はすべて学業に支障がないときに行わなければならない。春秋シーズンは3ヶ月を超えてはならない。但し、休暇における試合は、この限りではない。 |
第4条
大学の野球大会又はリーグ戦を主催する団体の役員は、関係学校の責任者及び野球に知識経験がある適任者がこれに当たる。
A 常置の主催団体は、あらかじめ毎年の事業概要並びに経理方法を2月末日までに、日本学生野球協会に届け出しなければならない。
B 常置団体以外の団体が野球大会を主催する場合は、あらかじめ試合の施行並びに経理方法を具し、試合開始1週間前までに日本学生野球協会に届け出なければならない。
C 前2項の事業に変更を生じた場合には、その都度、日本学生野球協会に届け出なければならない。 |
第5条
対抗試合は、当該学校の主催によってのみ行われる。 |
第6条
二校以上の学校が所在都道府県を離れて試合を行なう場合は、あらかじめ日本学生野球協会の承認を得なければならない。 |
第7条
入場料は、入場者の整理・試合及び練習に要する経費に充てる場合に限り、これを徴収することができる。但し、日本学生野球協会の承認ある場合はこの限りでない。 |
第8条
入場料を徴収した場合には、主催団体の代表者又はその学校の責任者は、大会・リーグ戦又は対外試合終了後、遅滞なく詳細な収支決算報告書を日本学生野球協会に提出しなければならない。 |
第9条
選手は、学校長が身体・学業及び人物について適当と認めた者に限る。但し、大会・リーグ戦又は対校試合に出場する選手の資格に関しては、主催団体においてさらに厳格な制限を設けることができる。 |
第10条
選手及び部員は、職業野球に所属する選手・監督・コーチ・審判員その他直接に職業野球の試合、若しくは練習に関与している者、又は関与したことがある者と試合、若しくは練習を行ない、又はこれからの者からコーチ、若しくは審判を受けることができない。但し、直接に職業野球の試合、又は練習に関与したことがある者であっても、日本学生野球協会審査室においてその適性を認定された者については、この限りではない。
A 前項の規定は、職業野球のスカウト、その他これに準ずる者についてもこれを準用する。 |
第11条
選手及び部員は、自校又は出身校を背景とするクラブチーム以外の試合に出場することができない。
A 選手又は部員が参加するクラブチームの試合に関しては、すべてこの憲章の規定を準用する。
B 前2項のクラブチームとは、選手及び部員とこれらの者の自校、又は出身校の先輩との混合チームをいう。 |
第12条
前2条に関しては、第10条第1項但し書の場合を除くほか、日本学生野球協会が、審査室の議を経て特別の措置をすることができる。 |
第13条
選手又は部員は、いかなる名義によるものであっても、他から選手又は部員であることを理由として支給され、又は貸与されるものと認められる学費・生活費その他の金品を受けることができない。
A 選手又は部員は、いかなる名義によるものであっても、職業野球団その他のものから、これらとの入団・雇傭その他の契約により、又はその締結を条件として契約金、若しくはこれに準ずるものの前途し、その他の金品の支給、若しくは貸与を受け、又はその他の利益を受けることができない。 |
第14条
選手又は部員は、コーチ・審判その他これに準ずる行為をする際に、これらに当然に必要な旅費・宿泊費、その他の経費以外の金品の支給、若しくは貸与を受け、又はその他の利益を受けることができない。 |
第3章 高 等 学 校 野 球 |
第15条
高等学校の野球は財団法人に高等学校野球連盟が、日本学生野球協会の指導の下に、それぞれの都道府県の高等学校野球連盟を通じて、これを監督する。 |
第16条
それぞれの都道府県の高等学校野球連盟に加入することができる学校は学校教育法第4章に定めるものに限る。 |
第17条
高等学校チームの参加することができる試合は、次に掲げるところにより開催せられるものに限る。
1. 全国大会は、財団法人日本高等学校野球連盟の主催したもの。
2. 地方大会(近接せる二以上の都道府県)は、関係都道府県高等学校野球連盟の主催したもの。
3. 都道府県大会は、都道府県の高等学校野球連盟の主催したもの。
4. 都道府県を異にする二校の試合は、それぞれの関係都道府県高等学校野球連盟の承認を得たもの。
5. 同一都道府県内の二校間の試合は、それぞれの学校長の責任の下に行われるもの。
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第18条
高等学校の野球試合に入場料を徴収する場合には、次に掲げる事項を厳守しなければならない。
1. 全国大会にあたっては、日本学生野球協会の承認を得ること。
2. 地方大会にあたっては、財団法人日本高等学校野球連盟の承認を得ること。
3. 一都道府県内の試合にあたっては、都道府県高等学校野球連盟の承認を得ること。
4. 大会、又は試合の終了後、入場料徴収の承認をした協会、又は連盟にすみやかに収支決算を提出すること。
5. 入場料の使用は、大会又は試合に必要な経費及び参加学校における体育の普及と発達に必要な経費の充当に限定されるべきこと。 |
第19条
第4条第1項・第7条但し書及び第9条から第14条までの規定は、高等学校野球にこれを準用する。 |
第4章 附 則 |
第20条
日本学生野球協会は、部長・監督・コーチ・選手、又は部員に学生野球の本義に違背し、又は違背するおそれのある行為があると認めるときは、審査室の議を経て、その部長・監督・コーチ・選手、又は部員に対しては、警告・謹慎、又は出場禁止の処置をし、その者の所属する野球部に対しては、警告・謹慎・出場禁止、又は除名の処置をすることができる。部長・監督・コーチ・選手、又は部員にこの憲章の条規に反する行為があると認められるときも、同様である。
A 部長・監督・コーチ・選手、又は部員に、野球に関する個人としての非行があったときは、その部長・監督・コーチ・選手又は部員について前項前段の規定を準用する。但し、この非行が、学生野球の健全な発達を阻害し、又は阻害するおそれがあると認められるときは、その者の所属する野球部についても前項前段の規定を準用する。
B 部長・監督・コーチ・選手、又は部員の、野球に閲しない個人としての非行であっても、その非行が、学生野球の健全な発達を阻害し、又は阻害するおそれがあると認められるときは、その者の所属する野球部について第1項前段の規程を準用する。
C 学校法人の役員、若しくは教職員、その他の学校関係者の行為が、学生野球の健全な発達を阻害し、又は阻害するおそれがあると認められているときは、その者の関係し、又は関係せんとする野球部について、第1項前段の規定を準用する。
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第21条
学生、又は生徒で組織される応援団及びその団員は、常にその本文に基づいて行動しなければならない。この応援団及びその団員の行動については、すべて、この応援団の所属する学校及び野球部がその責任を負うものとする。但し、この応援団、又はその団員が、その本文に反する行動をしたときに、これに関係ある野球部又は部長・監督・コーチ・選手・若しくは部員について前条第1項前段の規程を準定する。
A 前項の規定は、学生若しくは生徒以外の者で組織される応援団、又はその団員が、学生野球の健全な発達を阻害し、又は阻害するおそれがあると認められる行動をした場合についてもこれを準用するものとする。 |
第22条
選手若しくは部員又はその代理人は、その選手又は部員と職業野球団その他のものと入団・雇傭その他の契約の締結に関する交渉、その他の行為をするについては、財団法人全日本大学野球連盟又は財団法人日本高等学校野球連盟の定めるところに従わなければならない。 |
第23条
この憲章の適用に関して、疑義を生じたときは、日本学生野球協会審査室の議を経て、会長がこれを決定する。 |
第24条
この憲章は、日本学生野球協会評議員の議決によらなければこれを改正することができない。
A この議決には、総評議委員の三分の二以上の賛成を必要とする。 |
第25条
この憲章は昭和25年1月22日より施行する。 |